現在、全国の飲食店・小売店でPOSシステムの導入が進んでいます。POSシステムが普及している理由は、レジ業務や商品・顧客管理が効率化にあります。

一方で、POSレジには、初期費用や情報漏えいのリスク、停電によるシステム停止などのデメリットがあることも否定できません。

そこで、この記事では、「POSシステムを導入するメリット・デメリット」を紹介します。また、POSシステムの導入による「デメリットを克服するための対処法」も解説しているため、現在POSシステムの導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

目次

POSシステムの仕組みとは?

POSとは、Point of Salesの略語で、販売時点情報管理を意味します。POSシステムは、店舗のレジからインターネットを通じて本部コンピュータと接続することで、商品が売れた段階で、商品情報や売上額などをリアルタイムで管理する仕組みです。POSシステムは、レジ機器のコンピュータ連携が可能となった、1970年代頃から登場しました。

POSレジは、通常のレジが持つ精算機能に加えて、売上データなどの販売情報を管理する機能が搭載された、POSシステムの中核を担う多機能レジです。

POSシステムを利用するメリット

商品データや売上などの販売情報が、一括でリアルタイム管理できるPOSシステムを導入する会社・店舗が、現在増加しています。POSシステムの導入によって得られるメリットは、レジ業務や管理の効率化から従業員の不正防止まで様々です。

ここでは、POSシステムを導入することによって、会社・店舗が得られるメリットを紹介します。

レジ業務の効率化に繋がる

POSシステムを搭載するレジでは、従業員が料金精算の際、レジに金額を入力する必要がありません。POSシステムは、あらかじめ商品情報を登録しておくことで、自動的に金額などの商品情報が、レジに入力される仕組みとなっています。レジ業務を効率化することで、待ち時間を短縮化し、顧客満足度の向上が可能です。

レジへの入力ミスは、どれだけ対策を行っても、手打ち入力が必要なレジでは、避けられません。しかし、POSレジでは、手打ち入力によって生じるヒューマンエラーを防止することが可能です。従来型レジでは、タイムセールなどで一時的に商品金額を変更した際も、従業員による入力ミスが発生しやすい傾向にあります。一方で、金額が自動入力されるため、タイムセール時に発生するミスの防止に効果的です。

POSシステムでは、営業終了後のレジ締め作業も自動化されているため、閉店後に締め作業を行う必要がありません。閉店後、レジ締め作業に多大な時間を掛けている店舗も多いでが、POSレジを導入することで、レジ締め作業に掛かる労力や人件費の削減に繋がります。

商品や顧客情報が管理できる

POSシステムを導入することによって、店舗内の在庫情報や販売数をリアルタイムで把握できます。手動管理の場合、別に人員を割かなければ、リアルタイムで在庫状況を管理することは難しいです。販売情報をリアルタイムで管理できるPOSシステムでは、別に人員を割かずに、現在の在庫状況に応じた、商品の仕入・管理が行えます。

またPOSシステムでは、商品の販売情報を集計することで、「どの商品が、いつ、どれぐらい、売れたのか」を分析することが可能です。時系列での販売情報を分析することで、時間や曜日ごとの人気商品が調査でき、計画的な商品の仕入が行えます。

POSシステムが管理できることは、商品の販売情報だけではありません。多くのPOSシステムには、顧客管理機能も搭載されています。顧客ごとに、どのような商品を好むのか、などの管理も可能です。正確な顧客情報管理によって、顧客のニーズを正確に把握することに繋がり、会社・店舗の売上向上に繋がります。

複数店舗を一元管理できる

POSシステムでは、店舗レジと本部コンピュータを連携・管理できるため、複数店舗を展開しているお店では、POSシステムによって各店舗の情報を本部で一元管理できます。

また、近年普及しはじめているPOSシステムでは、各店舗で働く従業員の勤怠管理や給与計算も一元管理が可能です。チェーン展開する飲食店や小売店では、労務管理の経営に与える負担が大きいですが、POSシステムを導入することで、労務管理も一元化・自動化できます。

従業員の不正防止に繋がる

従来型のレジでは、従業員が金銭不正を行う余地がありました。しかし、POSシステムでは、「誰が、いつレジを操作したのか」という履歴を本部が管理するため、従業員が誰にも気づかれないように、金銭不正を行うことは難しいです。また、POSレジでは、商品金額を手入力する必要がないため、商品金額のごまかしなどの不正は、そもそも行えません。

勤怠管理の機能を搭載したPOSシステムには、タイムカード打刻時の本人の画像を撮影するなど、本人確認を行う機能がついており、成りすましなどの勤怠不正を防止できます。POSシステムが搭載する不正防止機能を使って、会社・店舗の損害を最小限に抑えましょう。

POSシステムのデメリットに対処する方法

POSシステムには、店舗運営に必要なデータをリアルタイムで一元管理できるメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。POSシステムは、コンピュータで情報を管理するため、停電やセキュリティなどデジタル機器特有の問題に、対処しなければなりません。

そこで、ここではPOSシステムのデメリットを紹介します。それぞれのデメリットを克服するための対策方法についても解説しているため、参考にしてください。

導入に初期費用が掛かる:小規模店舗向けシステムを選ぶ

POSシステムを会社・店舗に導入するためには、初期費用が発生します。POSシステムを導入するためには、専用のレジ機器を購入・レンタルし、システム利用料を支払わなければなりません。大規模なPOSシステムを導入する場合は、100万円以上の費用が掛かることもあります。

ただし、POSシステムの利用料金やレジ機器の購入(レンタル)費用は、必ずしも100万円を超えるほどの金額となるわけではありません。機能が限定された小規模店舗向けのPOSレジであれば、20~50万円ほどの初期費用で済みます。多機能な大規模店舗向けシステムは、小規模店舗では必要のない機能も多いです。自分の会社・店舗で必要のない機能を削ることで、POSシステムの導入コストは大幅に下がります。

停電でシステムが止まる:端末を動かす予備電源を確保する

通常、POSシステムを搭載するレジは、停電などで電力の供給が止まると、動作しなくなります。飲食店の場合は、POSシステムに食事をしている顧客データを保存しているため、店舗端末が動作しなければ、顧客対応ができません。

停電によって生じるPOSシステムの停止を防ぐために、店舗端末を動かすための予備電源を設置することをおすすめします。また、最近はバッテリーが備え付けられたレジ端末も登場しているため、そのような機種を選ぶことで、停電への備えも万全です。

情報漏えいの危険性がある:セキュリティ対策を行う

POSシステムを動かすコンピュータには、顧客データなどの厳格な取り扱いが求められる個人情報が蓄積されています。セキュリティの不備により、POSシステムが管理する個人情報が外部に流出すると、会社・店舗は責任を負わなければなりません。

情報漏えいを防ぐためには、POSシステムを動かすコンピュータのウイルス感染を防止することが大切です。コンピュータのウイルス感染を防ぐ方法としては、ウイルス対策ソフトの導入、ソフトの定期的なアップデートなどが挙げられます。

社員教育が必要となる:サポートが充実した会社を選ぶ

POSシステムの導入は、従来の仕組みを変えることであるため、従業員に扱い方を一から教育する必要があります。従来型レジと比べると、操作が簡単になるPOSレジですが、新しいレジの操作に馴染めない従業員がいるかもしれません。また、本部の管理社員にも、POSシステムの管理方法やデータの分析方法を教育する必要があります。

従業員への教育問題を解決するためには、POSシステム導入後のサポートが充実した会社を選びましょう。POSシステムを提供している会社の中には、講習会を開いて、従業員への使用・管理方法について、分かりやすく解説しているところもあります。

まとめ

POSシステムを導入することで、販売情報や顧客、労務管理などの一元的リアルタイム管理が可能となります。そのため、最近POSシステムを採用しはじめる飲食店・小売店が多いです。

もちろん、POSシステムには、メリットだけではなく、導入費用や情報漏えいなどのデメリットもあります。しかし、事業規模に釣り合ったPOSシステムを選び、セキュリティ対策を行うことで、デメリットの克服は可能です。

POSシステムのメリット・デメリットを踏まえて、自社に最適なシステムを導入しましょう。