目次

IT導入補助金とは?適用されるPOSレジサービスを解説

現在、感染症対策の一環としてキャッシュレス決済を促進するために、POSレジの新規導入・入替が求められています。POSレジはお客様とスタッフの接触を避けるだけではなく、業務効率アップにもつながる有効なツールです。

しかし、初期費用や利用料金がかかることから、POSレジの導入・入替に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。

POSレジ導入に伴うコストがネックになっている場合は、IT導入補助金の利用を検討してみましょう。IT導入補助金は、POSレジなどのITツール導入に対して支給される補助金です。

本記事では、IT導入補助金とは何か、適用されるPOSレジサービスに何があるかを詳しく解説します。

IT導入補助金とは

IT導入補助金を利用すれば、ITツールの導入費用に対して補助金が支給されるため、導入に伴う経済的な負担を軽減することができます。
キャッシュレス対応を計画している店舗の担当者は、IT導入補助金を活用できるかしっかり確認しておきましょう。

IT導入補助金の概要・目的

IT導入補助金とは「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令」などに基づき運営される「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」の略称です。
中小企業者や小規模事業者などが所定の目的に沿ってITツールを導入する場合、申請要件を満たせば、導入費用の一部が補助されます。

経済産業省などの監督の下、IT導入補助金の運営を担っている一般社団法人サービスデザイン推進協議会によると、IT導入補助金の概要は下記の通りです。
以下の目的に対応するIT投資でなければ、IT導入補助金を利用することができません。

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。
自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただくことを目的としています。

出典:一般社団法人サービスデザイン推進協議会「IT補助金2020」

ITツール導入による業務効率化や売上アップの目標値・目標達成度合いについては、報告書の作成などによって3年間にわたり情報共有する必要があります。
補助金支給目的の安易なIT投資は避け、必要性に応じたITツール導入を検討しましょう。

IT導入補助金の対象・補助額

IT導入補助金の申請類型は、通常枠(A類型・B類型)・C類型に分類できます。

通常枠とC類型のいずれも対象ツールの範囲は、IT導入支援事業者の事前申請によって事務局の認可を受けたものに限定されます。IT導入補助金の申請前提で設備投資を進める場合は、事前にきちんと確認しましょう。

以下では、通常枠とC類型に分けて、IT導入補助金の詳細をより詳しく紹介します。

<通常枠(A類型・B類型)>
通常枠は、令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業に基づく補助金です。
通常枠の補助対象や補助対象経費、補助は以下の表の通りです。業種別に資本金や従業員数の基準が存在することに注意しましょう。

補助対象

【資本金・従業員数の基準を満たす中小企業や財団法人、社団法人、中小企業団体など】

  • 資本金3億円以下もしくは常勤従業員数300人以下の製造業、建設業、運輸業、ソフトウェア業または情報サービス業など
  • 資本金1億円以下もしくは常勤従業員数100人以下の卸売業
  • 資本金5,000万円以下もしくは常勤従業員数100人以下のサービス業
  • 資本金5,000万円以下もしくは常勤従業員数50人以下の小売業
  • 資本金3億円以下もしくは常勤従業員数900人以下のゴム製品製造業
  • 資本金5,000万円以下もしくは常勤従業員数200人以下の旅館業
  • 常勤従業員300人以下の医療法人や社会福祉法人、学校法人
  • 常勤従業員100人以下の商工会など
  • 主たる業種記載の常勤従業員数以下で運営する財団法人、社団法人、特定非営利活動法人など

【従業員数の基準を満たす小規模事業者】

  • 常勤従業員5人以下の商業、サービス業(宿泊業、娯楽業は除く)
  • 常勤従業員20人以下の宿泊業、娯楽業、製造業
補助対象経費 ソフトウェア費、導入関連費など
補助上限額・下限額
  • A類型:30万~150万円未満
  • B類型:150万~450万円
補助率 2分の1以下

出典:IT導入補助金2020「事業概要」

※上記のほか、交付申請時点において日本国内で事業を行う個人もしくは法人であること、地域別最低賃金基準以上の給与を支給することなどの諸条件が適用されます。詳細は「IT導入補助金2020公募要領」を確認してください。

なお、PCやWebカメラといったハードウェアの購入費用、広告宣伝費、補助金申請代行費用などは、補助対象経費とみなされません。ソフトウェアの大幅なカスタマイズに要する費用や独自のシステム開発を依頼する場合の費用も、補助金を受けることは不可能です。

<C類型>
C類型は、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて創設された特別枠の補助金に該当します。新型コロナウイルス感染症対策として以下のような対処を要する中小企業者などは、所定の条件を満たすことで、補助金を受けることが可能です。

  • お客様への商品・サービス提供を継続するため、ITツールの導入が必要
  • 対面ビジネスから非対面型ビジネスモデルに転換するため、ITツールの導入が必要
  • テレワーク環境を整備するため、ハードウェアのレンタルやITツールの導入が必要

C類型の補助対象は、通常枠と同様です。
補助対象経費の範囲はより広く、補助率も高いため、手厚い支援が期待されます。

補助対象 通常枠(A類型・B類型)と同様
補助対象経費 ソフトウェア費、導入関連費、ハードウェアレンタル費など
補助上限額・下限額 30万~450万円
補助率 C類型-1:3分の2以内
C類型-2:4分の3以内

出典:IT導入補助金2020「IT導入補助金 特別枠(C類型)

C類型-1は、感染拡大の影響から既存のサプライチェーンが毀損し、ITツール導入を要する場合に申請できる補助金です。C類型-2は、非対面型ビジネスモデルへの転換やテレワーク基盤の構築を要する場合に申請できます。

IT導入補助金のスケジュール

IT導入補助金を受けるためには、申請期間内に所定の方法で手続きを行い、事業実績報告期間内に必要情報を提出しなければなりません。
今年度のスケジュールの詳細は、以下の表で確認してください。

<通常枠(A類型・B類型)>

8次
交付申請期間 〜2020年10月2日17:00
交付決定日 2020年10月30日(予定)
事業実施期間 交付決定日~2021年3月31日
事業実績報告期間 交付決定日以降~2021年3月31日17:00
9次
交付申請期間 〜2020年11月2日17:00
交付決定日 2020年11月27日(予定)
事業実施期間 交付決定日~2021年6月30日
事業実績報告期間 交付決定日以降~2021年6月30日17:00
10次
交付申請期間 〜2020年12月18日17:00(予定)
交付決定日 2021年1月27日(予定)
事業実施期間 交付決定日以降~2021年6月30日
事業実績報告期間 交付決定日以降~2021年6月30日17:00

<C類型>

7次
交付申請期間 〜2020年10月2日17:00
交付決定日 2020年10月30日(予定)
事業実施期間 交付決定日~2021年3月31日
事業実績報告期間 交付決定日以降~2021年3月31日17:00
8次
交付申請期間 〜2020年11月2日17:00
交付決定日 2020年11月27日(予定)
事業実施期間 交付決定日~2021年6月30日
事業実績報告期間 交付決定日以降~2021年6月30日17:00
9次
交付申請期間 〜2020年12月18日17:00(予定)
交付決定日 2020年11月27日(予定)
事業実施期間 交付決定日~2021年6月30日
事業実績報告期間 交付決定日以降~2021年6月30日17:00

出典:IT導入補助金2020「スケジュール」

交付申請期間の締め切り直前は申請者が集中しやすく、手続きが滞る恐れがあります。
事業計画策定やIT導入支援事業者との相談は早めに進め、余裕を持ったスケジュールで申請しましょう。

IT導入補助金の申請・手続き

IT導入補助金の申請・手続きは、以下の流れで進めます。

  • 事業の理解
  • ITツールの選択等事前準備
  • 交付申請
  • ITツールの利用
  • 事業実績報告
  • 補助金交付手続き

補助金の交付は、交付申請とITツール利用の間で決定します。交付申請では、IT導入支援業者からの「申請マイページ」への招待や経営診断ツールの利用、情報入力・書類添付などが必要です。補助金交付はすぐ行われず、予定されている事業実施期間の2020年1月31日以降の交付となります。

POSレジ導入で受けられるIT導入補助金

IT導入補助金の対象となるツールには、POSレジサービスも含まれています。主な対象POSレジサービスは、「Okageレジ」「ワンレジ」などです。

ここからは、それぞれの補助内容、サービスの特徴を紹介します。POSレジサービスの機能などを比較検討したうえで、店舗に合うPOSレジを導入しましょう。

【IT導入補助金対象POSレジ】Okageレジ

Okagaレジは、セルフオーダーシステムや注文の一元管理機能など、多彩なサービス・機能を持つITツールのシリーズです。IT導入支援業者として採択された「株式会社Okage」が提供しているため、Okageレジの一部のサービス・機能はIT導入補助金の対象です。

以下では、IT導入補助金対象に含まれるOkageレジのサービス・機能や補助額について詳しく解説します。

Okageレジの補助内容

Okageレジのうち、「Okageセルフレジ」「Okage Go店内版」「オーダーブック」の3種類は、IT導入補助金対象のITツールに登録されたサービスです。
非対面型ビジネスモデルへの転換に貢献するITツールとして「C類型-2」の要件を満たしており、以下の補助金申請額・補助率が認められます。

補助金申請額 30万〜450万
補助率 4分の3

つまり、「ハードウェアレンタル費などを含め、最大で450万円の4分の3である337万5,000円までのIT導入補助金を申請できる」ということになります。

Okageレジとは

IT導入補助金の対象に含まれる「Okageセルフレジ」「Okage Go店内版」「オーダーブック」は、それぞれ以下のような機能を持ちます。

  • Okageセルフレジ
    前払い券売機や後払い券売機として機能する、タブレット連動型のセルフレジです。お客様とスタッフが接することなく、自動精算を行えます。
  • Okage Go店内版
    お客様のスマホから注文や決済ができるセルフオーダーシステムです。テーブルごとに設置されたQRコードをお客様のスマホで読み込むことで、注文が可能です。
  • オーダーブック
    紙の代わりにタブレット端末を使用するメニューブックです。タッチパネル式のセルフオーダーシステムとしても使用できます。

Okaneレジには、上記の他にもさまざまなサービス・機能が存在するため、必要に応じた導入方法を検討しましょう。

【IT導入補助金対象POSレジ】ワンレジ

ワンレジは、株式会社スカイダイニングが提供している、飲食店に特化したPOSレジです。会計や注文受付をはじめ、予約管理、データの集計、給与計算など、多岐にわたる機能が搭載されています。

以下では、IT導入補助金対象に含まれるワンレジのサービス・機能や補助額について詳しく解説します。

ワンレジの補助内容

IT導入補助金の対象は、ワンレジの導入に伴うアプリケーション費・設定、講習費などです。アプリケーション費・講習費などにかかった金額の最大4分の3が補助金として支給されます。
※機械にかかる費用は補助対象外です。

ワンレジの利用プランには、以下の2種類があります。

・ハンディあり(POSレジ+ドロア+会計プリンタ+キッチンプリンタ+ハンディ)
20席以上の席数がある店舗向けのプランです。
ハンディから注文データを送信すると、すぐにキッチンプリンタから伝票が出てくるシステムとなっています。ハンディは1台から導入することが可能です。

<補助金額シミュレーション>
ハンディ3台・キッチンプリンタ1台の場合

機器代金 月額費用12か月分
売価 700,000円
(設置講習費50,000円含む)
120,000円
補助額 387,000円90,000円
合計自己負担額(初期費用+1年利用料):343,000円

ハンディ5台・キッチンプリンタ2台の場合

機器代金 月額費用12か月分
売価 837,000円
(設置講習費50,000円含む)
120,000円
補助額 435,750円90,000円
合計自己負担額(初期費用+1年利用料):431,250円

※上記はあくまでも一例であるため、参考程度にとどめてください。

・テーブルオーダーあり(POSレジ+ドロア+会計プリンタ+キッチンプリンタ+ハンディ+テーブルオーダー端末)
席数が多い店舗や、個室や離れのある店舗向けのプランです。
テーブルに置いている端末からお客様が注文し、その注文内容はキッチンプリンタから伝票として出てくるシステムとなっています。テーブルオーダー端末に表示するメニュー名や説明文は多言語に対応しています。
テーブルオーダー端末は1台から導入することが可能です。

<補助金額シミュレーション>
ハンディ3台・テーブルオーダー端末3台・キッチンプリンタ3台の場合

機器代金 月額費用12か月分
売価 1,059,000円
(設置講習費50,000円含む)
156,000円
補助額 565,500円117,000円
合計自己負担額(初期費用+1年利用料):532,500円

ハンディ5台・テーブルオーダー端末10台・キッチンプリンタ3台の場合

機器代金 月額費用12か月分
売価 1,473,000円
(設置講習費50,000円含む)
240,000円
補助額 721,500円180,000円
合計自己負担額(初期費用+1年利用料):811,500円

※上記はあくまでも一例であるため、参考程度にとどめてください。

ワンレジとは

ワンレジは、飲食店経営者の声をもとに開発されたPOSレジです。会計機能や注文・セルフオーダー機能、予約管理機能など、飲食店の経営に必要な機能は一通り揃っています。
また、飲食店における使いやすさを重視した周辺機器も充実しています。
下記は、周辺機器の一例です。

  • ハンディ
    紙とペンを使わずに注文を受けることができます。耐水・耐衝撃の専用ケースに入っているため、万が一落としたとしてもすぐに壊れる心配はありません。
  • セルフオーダータブレット
    お客様がテーブルで直接オーダーできるタブレット端末です。4か国語に対応しているため、海外からのお客様が多い店舗でも活用することができます。
  • 決済端末
    POSレジと連動する決済端末です。クレジットカード決済など、キャッシュレスに対応すれば、店舗の利便性向上につながります。

このほかにもワンレジにはさまざまな機能があります。ワンレジの導入を考えている場合は、周辺機器の併用も一緒に検討するとよいでしょう。

まとめ

IT導入補助金は、POSレジなどのITツール導入に対して交付される補助金です。通常枠の補助額は30万~450万円で、補助率は2分の1以下となっています。

IT導入補助金の対象となるPOSレジには、Okageレジやワンレジなどがあります。業種や機能などを参考に、自分の店舗に合うPOSレジを選ぶことが大切です。さまざまなPOSレジサービスを比較検討したうえで、IT導入補助金も活用しましょう。