日本で通貨が誕生したのは、683年の飛鳥時代だと言われています。

そして通貨が誕生したことによりレジ(キャッシュレジスター)が誕生するのですが、私たちのよく知る現在の形のレジは1878年にアメリカで誕生します。

通貨が誕生してから1,000年以上もたってからです。現在、このレジの歴史も大きく変わりつつあります。

POSレジの誕生です。

レジ(キャッシュレジスター)は、金銭の管理やその記録を行う役割をもつ機器から、顧客情報から在庫管理まで一貫して担う、もはや店舗には欠かせない存在へと変化してきています。

そこでここでは、POSレジをはじめとしたレジの歴史を振り返りながら、これからのPOSレジが向かう未来をみてみたいと思います。

目次

POSレジの歴史

POSレジはどのように誕生したのでしょう?

レジ(キャッシュレジスター)が誕生してからおよそ100年後にはPOSレジが誕生し、現在、日本の百貨店やコンビニなどの多くの店舗で導入されています。

POSレジって?

POSは「Point of Sales」の頭文字をとったもので、販売時点情報管理と訳されます。商品のバーコードを読み取ることで、その時点でなんという商品名のものがいくつ売れたのか、そのときの時間や価格、その日の天気などをも管理・記録できるシステムのことです。

商品にバーコードが付されていない場合でも、レジ端末に直接情報を入力することで情報を管理記録できます。

POSレジはこのPOSシステムを導入したレジ(キャッシュレジスター)のことで、インターネットの普及とともに店舗に欠かせない存在となりました。

インターネットを介することにより、売上金や商品情報を管理するだけでなく、顧客情報から在庫管理までも網羅する、利便性がさら増したシステムで効率化はてはコスト削減をも可能としました。

POSレジの前身のレジって、そもそもどんなもの?

ではPOSレジの前身、そもそものレジ(キャッシュレジスター)にてついて説明しましょう。

POSレジが販売時点情報管理をおこなうレジであるのに対し、レジはキャッシュレジスターのことを指し、単に金銭の保管を担う簡易金庫的な存在です。

ドロアと呼ばれる引き出しが内蔵されているものと分離しているものとあり、内部の計算機で一定期間の売上を記録します。

基本的に機能はこれだけですので、普段私たちがレジときいて連想するものはキャッシュレジスターではないことがわかりますね。

この単一機能であるレジ(キャッシュレジスター)が、他の機能を兼ね備えるようになったのが、前述のPOSレジなのです。

レジの歴史

冒頭でもふれましたが、通貨誕生からレジ誕生までは長い歴史がありますが、レジそのものの歴史は意外に浅く、誕生から140年あまりしかたっていません。

しかしこの約140年のあいだに多くの技術がうまれ、レジも劇的に変化していくのです。

レジ誕生の最初のきっかけ

1900年代初頭に百貨店が多く登場したことにより、レジは誕生、普及しました。

その当時の百貨店はまだ西洋の文化が広く広まっていない日本において、商品を購入する場所にとどまらず、その西洋的な建物を楽しむこと自体も目的となっていました。

百貨店に行くことが一種のステータスであり、上流階級のたしなみとなっていたようです。

そして最初は都市部にしかなかった百貨店も徐々に郊外にも広まっていき、人々の生活に深く浸透していったのです。

世界最初のレジスター「ダイアル・レジスター」

世界最初のレジスターはアメリカのカフェ経営者、ジェームズ・リティという人物がつくったものだと言われています。

私たちがよく知る形とはだいぶことなり、置時計のような形をしたものでした。

長針で1~9ドルを、短針で5~95セントを示し、店側と客とのあいだで「この金額での取引に合意した」ということを表すために用いられていました。

その後このダイアル・レジスターに、表示内容をピンで穴をあけて記録する機能、さらに取引合計を計算する機能が追加され、ナショナル・キャッシュ・レジスター(現NCR)がリティから販売権利を買い取りました。

日本最初のレジスターは1897年、このダイアル・レジスターを輸入したのがはじまりとされています。

レジの電動化、さらに多機能・高性能へ

ダイヤル・レジスターが、我々のよく知る形になるまでの変遷をみてみましょう。

1878年:ダイヤル・レジスター
【機能】取引内容の表示

1879年:ペーパー・ロール・マシン
【機能】ピンで穴をあけて内蔵された記録紙に取引内容を記録、取引ごとに音が鳴る

1883年:ディティール・アダー式レジスター
【機能】合計器・引き出しがつく、取引ごとに引き出しが開くようになる

1892年:79号レジスター
【機能】最初のレシート発行機能搭載

1902年:100号レジスター
【機能】最初の電動レジスター、精算回数器付き

1919年:1700号レジスター
【機能】最初の加算機能搭載、取引の明細とその合計表示ができるようになる

1926年:N-2000号レジスター
【機能】自動点検・精算機能搭載

このように数年おきに機能が追加されていくと同時に小型化されていき、最終的に百貨店のみならず、一商店でも手が届くような価格まで下がってきます。

そして1971年に、ついにPOSシステムを搭載したレジスターが日本にやってきます。
  

レジ(キャッシュレジスター)からPOSレジへの転機とは?

1971年にPOSシステムを搭載したレジが日本へやってくる頃、日本の経済や人々の働き方にも変化が表れ始めました。

この変化が、POSレジを急速に日本中に広める要因となったのです。

社会ニーズの変化とともに広まるPOSレジ

POSレジは社会のニーズの変化によって急速に広まりました。日本の経済や人々の働き方に変化が起こり始めたためです。

第二次世界大戦終了後、高度経済成長期がおとずれ人々の生活は大きく変化し始めます。

それまで親とその子、さらにその祖父母が一つの世帯としてともにで暮らすのが一般的だったのが、核家族がすすみ、それまで家庭にいることが多かった女性(母親)が社会に進出するようになりました。

そしてこの家族の形の変化が、市場で求められる商品の形態を変化させたのです。

例えば、「1人で食べきれる量の食材を買いたい」、「すぐに食べたい、後片付けはしてほしい」、「朝会社に行く前に寄りたい」、「遅くまで営業していてほしい」など、スーパーや飲食店、コンビニなどにはこのような要望が求められるようになりました。

このようなニーズが社会全体で増えたためスーパーや飲食店、コンビニの店舗数は着々と増え、それに伴いPOSレジも広まったのです。

POSレジ普及を後押しするインターネットの生活への浸透

POSレジが急速に普及したのは前述の通り、社会のニーズの変化が大きな一端を担っていますが、インターネットの存在も忘れてはなりません。

POSレジはインターネットを基幹としています。

インターネットが店舗と店舗、店舗と本部、または営業部門と在庫部門など、数多くの部門・場所を物理的な距離を超えてつなぐことによって、POSレジはその利便性を発揮することができます。

みなさんご存じのように、インターネットは登場するやいなや我々の生活を大きく変えてきました。

それに合わせてできることもどんどん増えていき、社会も大きく変化してきたのです。

社会のニーズの変化、インターネットの発明・普及これらが、相乗的にPOSレジの普及へと貢献する形となったのです。

最新のPOSレジのすがた

最新のPOSレジは、ネット店舗とリアル店舗の売上データや在庫データ、顧客情報を紐づけられるのはもちろん、その導入障壁も下がってきています。

専用アプリをダウンロードすればスマートフォンもPOSレジとして使用できますし、手のひらサイズの端末でカード決済できるものもあります。

ネット店舗であってもリアル店舗であっても、POSレジがインターネットでつながっていれば、全国の店舗のデータを一括管理することが可能です。

いままで利便性・機能性のために諦めていたことも、いまは気にせずに済む事例もあります。

例えば小型化がより一層すすんだことで、お店の雰囲気を損ねる大きな端末を置かずに済んだり、小さな端末はワイヤレスなのでお客さんにレジまできてもらうことなく支払いをしてもらうことも可能です。

世界におけるPOSレジ|POSレジが迎える未来

実は日本は、先進国の中で遅れをとっている分野があります。

その代表がキャッシュレス決済です。

海外ではスマートフォンの決済コードを専用端末にかざすだけで買い物ができるお店がほとんどで、むしり現金は使えない、なんてお店がほとんどなんて国もあるほどです。

そしていま新たに注目を集めているのが、従来の据え置き型のPOSレジではなく、非固定型のウェアラブルPOSなのです。

ウェアラブルPOSとは、POSシステムが搭載されているウェアラブル端末の総称です。

ウェアラブル=装着可能な、という意味ですので、固定され動かすことのできない据え置き型のものではなく、体に装着し自由に動かすことのできるデバイス型端末に、POSシステムが搭載されているのです。

このウェアラブルPOSの最大の利点は、なんといってもレジ待ちの時間をなくすことができる点です。

混雑する時間帯・タイミングにおいて、人々は列を作りPOSレジを使う順番を待たねばなりませんでした。

でもこのウェアラブルPOSならお客さんが自らのデバイスで、好きなタイミングで商品コードを読み取りできるので、混雑する列に並ぶ必要がなくなるのです。

まとめ:変化を続けてきたPOSレジとこれからのすがた

POSレジに限った話ではありませんが、テクノロジーは日々進化しています。

そして大量の情報が日々あふれ、情報の取捨選択する力は必要不可欠となってきています。

POSレジは誕生するまでは長い年月を要しましたが、誕生してからは凄まじいスピードで進化してきます。

時代に乗り遅れないためには躊躇している時間はありません、常に最新の波に乗れるようアンテナを常にはっておきましょう。

参考
https://ec-orange.jp/ec-media/?p=3426
https://www.ncr.co.jp/about_ncr/who/register/reg01
https://orange-operation.jp/posrejihikaku/pos/10685.html