レジの機能で最も基本的なものが会計機能です。商品やサービスの購入に欠かせない機能で、レジには必ず備わっています。ただレジにもPOSレジやレジスターといった種類があり、会計機能を除くと多くの違いがあります。

本記事では、POSレジとレジスターの違いについて、それぞれの特徴や機能の違いを解説していきます。POSレジの選び方やPOSレジの展望にも触れているため、事業者の方はぜひチェックしていきましょう。

目次

POSレジとは

POSレジとは、顧客とのお金のやりとりだけでなく、販売情報を集計・分析する機能を備えたレジです。POSは「Point of Sales」の略称で、販売時点情報管理という意味があり、販売と同時に情報を蓄積することで、売上管理や顧客管理を可能にします。POSレジとはどのようなレジかを特徴と合わせて見ていきましょう。

商品管理ができる

POSレジでは、商品情報を登録することができます。商品名だけでなく、カテゴリやメーカーなど細かく情報を登録でき、一目で詳しい商品情報がわかります。商品情報は販売情報と結びついているため、商品ごとの売上や在庫などの数値も商品情報に反映されます。

商品の売上を把握することで、売れ筋商品や死に筋商品が見分けられ、商品展開の改善や商品ラインナップの改善などに活かすことができます。書店など商品についての問い合わせが多い業種であれば、POSレジと検索システムを連携して、在庫確認や注文状況照会などスムーズな顧客対応が可能になります。

売上分析ができる

POSレジに蓄積される販売データは、商品ごとの売上だけでなく、時間や日など細かい条件で抽出・確認することができます。リアルタイムの売上はもちろん、週・月・年など期間

ごとのデータも集計されます。現在の月別売上と昨年の月別売上を比較することもでき、売上分析に役立ちます。

POSレジによっては、自動でABC分析などの分析がされるものもあります。ABC分析とは、売上ごとにグループ分けしてメニューの改廃などを検討する分析です。さまざまな売上分析を活用することで、売上アップを実現しやすくなります。

在庫管理ができる

POSレジでは、商品ごとの在庫数を登録することで在庫管理も自動化できます。在庫の増減がわかるため、過剰在庫の返品や追加発注のタイミングを見極められます。売上分析と組み合わせることで、売上から在庫推移を予想でき、多めに発注するなど根拠のある発注ができるようになります。機会損失を減らし、売上アップを期待できます。

在庫管理として、棚卸作業もスムーズに行えます。手作業で表やメモを書いていたものがデータでチェックできるため、店舗の一大イベントにもなりがちな棚卸が効率化されます。ハンディターミナルやタブレットなどを連携すると、さらに棚卸作業がしやすくなります。

レジスターとは

レジスターは、POSレジが登場する以前のレジ機器です。基本的に会計機能のみであるため、金銭交換機とも呼ばれています。ガチャレジと呼ばれることもあります。レジスターが生まれたのはアメリカで、商品の金額表示機能しかありませんでした。レシートの発行や商品データの記録などの機能が増えていき、現在のレジスターに近づいていきました。

会計に必要な最低限の機能しかない分、導入コストが安いのが特徴です。会計機能以外必要ないという場合は、コストをおさえてレジ設備を整えることができます。ただ多くの業種で売上分析や顧客管理の必要性があるため、ほとんどの店舗でPOSレジが導入されているのが現状です。

POSレジとレジスターの違いとは

POSレジとレジスターの違いを見ていきましょう。会計機能は共通ですが、収集できるデータやデータの保存方法、機能など、多くの違いがあります。いくつかの違いに注目して紹介していきます。

収集されるデータの違い

POSレジでは、販売した商品の価格や個数をもとに、売上推移や顧客ごとの売上などさまざまなデータが収集されます。一方、レジスターは商品の価格や個数の記録にとどまります。レジ上で売上分析などができず、販売促進をするには自力で集計するなど時間と手間がかかります。

データの保存方法の違い

POSレジは、インターネットを利用して、サーバーにデータが保存されます。自店のデータはもちろん、多店舗管理を利用することで他店や全店のデータも確認することができます。レジスターはオフラインで処理が行われ、レジスター本体やSDカードにデータを保存していきます。伝票で売上を管理する場合もあります。

周辺機器やサービスと連携できるか

POSレジは、周辺機器・サービスとの連携も幅広くできます。キャッシュレス決済や予約管理システムなど、需要や業種に必要な機能をカスタマイズできます。POSレジにはタブレット型POSレジもあり、アプリのインストールでも気軽に他サービスと連携できます。

レジスターは、POSレジに比べると古いハードウェアであるため、周辺機器やサービスとの連携が限られてしまいます。欲しい機能があっても対応していないこともあるでしょう。キャッシュレス化や軽減税率への対応を求められる中、レジスターの利用は難しいかもしれません。

POSレジとレジスターの機能比較

POSレジとレジスターには、機能面の違いが多くあります。共通する会計機能をとっても使いやすさや正確性には差がでます。POSレジとレジスターの主な機能を比較していきます。

会計機能

POSレジとレジスターに共通する会計機能ですが、両者には違いがあります。レジスターは販売する商品情報を入力し会計を決定します。入力する時間や手間があり、もしミスをしてしまうと顧客の信頼にも関わります。会計専用の機器で使い慣れる必要があります。新入社員やパート・アルバイトの教育に時間がかかるでしょう。

POSレジでは、商品情報をあらかじめ登録します。バーコードを読み込んだり、販売する商品を画面でタッチしたりすることで価格が自動で計算されます。商品コードを入力するといった手間がないため、ミスなくスムーズに会計できます。タブレットPOSレジは、普段使い慣れているデジタル機器と操作が似ている部分も多く、誰でも直感的に使えます。

販売情報の管理

販売情報の管理は、POSレジが優れています。レジスターでも販売価格や個数は記録できますが、商品ごとの売上推移や日別・月別などの集計はされません。売上集計や分析は自力で行う必要があり、時間と手間がかかるでしょう。

POSレジは、販売情報がサーバ上に集計されるため、売上を把握するだけでなく、週単位・月単位・前年対比など多角的に確認・分析ができます。店舗の改善点に気づいたり、顧客に素早く提案したりするなど、売上アップ・サービス向上に欠かせない機能が備わっています。

複数店舗管理

レジスターはオフラインで利用するため、複数の店舗があっても店舗ごとの管理が必要です。売上を集計・報告する際は、別途書類を作成する必要があります。POSレジはネットワークを利用することで複数店舗を連動させることができます。

本部システムから店舗ごとの売上や在庫を確認でき、運営状況の確認・改善に向けた指示が簡単にできるようになります。店舗から本部システムにアクセスすることもでき、他店の運営状況や売上状況から、自店の分析・改善に活かせます。

POSレジの選び方

POSレジとレジスターには違いがあり、POSレジの方が優れていることがわかります。ただ、POSレジの機能を利用しない場合はレジスターでも十分役割を果たしてくれます。POSレジの導入目的や業種などを明確にして選ぶことが大切です。POSレジの選び方を3つのポイントに分けて解説していきます。

業種に合ったPOSレジを選ぶ

さまざまな業種の店舗があり、POSレジの活用方法が違います。飲食店であれば、タブレットやスマートフォンと連携してセルフオーダーシステムやオーダーエントリシステムが使えると、注文や会計を効率化できます。

アパレルショップでは、顧客に合わせた提案やポイントサービスのために顧客管理が必要でしょう。美容室やサロンであれば、予約管理やカルテ管理など、顧客管理と合わせてスケジュール管理機能も欠かせません。業種に合った機能をリストアップし、POSレジの導入を検討してみましょう。特に必要な機能がない場合は、レジスターでも十分と言えます。

店舗規模に合わせて選ぶ

店舗規模もPOSレジ選びに大切な判断材料です。複数店舗を展開していたり、1店舗あたりの商品数が多かったりする場合は、POSレジの商品管理や売上管理、在庫管理が欠かせないでしょう。これからの店舗が増えていくという場合にも、ネットワークで連携できるPOSレジが最適です。データの一元管理によって、複数店舗を適切に運営することができます。

小規模店舗であれば、商品数や業務内容が限られているでしょう。必要な機能が少ないことや会計のみでよい場合も考えられます。最低限の機能のあるPOSレジやレジスターが最適です。店舗規模や展開規模などから最適なPOSレジを選びましょう。

使いやすさで選ぶ

レジを扱うスタッフの利便性も重要です。使いやすいレジではスムーズな会計や柔軟な対応がしやすく、顧客の満足につながります。POSレジの中でも、タブレットPOSレジは画面をタッチするだけで、会計やその他機能を利用できるため、誰にでも簡単に利用できます。ミスが減り、素早い対応ができるようになります。

一方で、レジスターは会計時の入力や確認が必要になり、使い慣れるまでに時間がかかります。ミスが起こる可能性もあります。顧客やスタッフの利便性を考えて、使いやすさでPOSレジを選ぶのも方法のひとつです。

POSレジの未来とamazon go

レジはレジスターから始まり、POSレジ機器、タブレット型POSレジ、スマートフォン型POSレジなど進化を続けています。さらに新たなPOSレジとして、AI型POSレジも登場しました。レジレスシステムも呼ばれ、代表的なものにAmazon goがあります。Amazon goとは何か、日本での最新POSレジを見て、POSレジの未来をイメージしていきましょう。

Amazon goとは

Amazon goとは、シアトルにオープンした店舗です。スマートフォンのAmazon goアプリのQRコードを入口ゲートにタッチします。商品を手に取るとスマートフォンで自動で会計が行われ、レジで会計する必要がありません。そのためレジにスタッフは配置されておらず、商品陳列や食品製造のスタッフのみとなっています。

顧客側のメリットとして、レジで待つ必要がなく、スムーズにショッピングすることができます。店舗側にもメリットがあり、レジスタッフが必要ないため、人件費の削減や人手不足の解消につながります。

日本でのAI型POSレジの動き

Amazon goは、まだ日本に上陸していないものの、日本のコンビニでもAI型POSレジが注目され始めています。ローソンの「ローソンイノベーションラボ」での実証実験やファミリーマートの「ファミマミライ」など、導入に向け取り組みが行われています。支払の自動化、LINEを利用した電子レシートの発行など、コンビニの無人化・効率化を目指しています。

まとめ

POSレジとレジスターは、機能面で多くの違いがあります。レジスターは会計のみであるのみ対して、POSレジは売上管理や在庫管理なども可能です。POSレジを選ぶ際は、業種や店舗規模、使いやすさなどに注目しましょう。Amazon goなど最新のPOSシステムも登場しているため、レジスターから多機能なPOSレジへの入替えを検討してみてくださいね。