10月から、あなたのお店の人件費は年間およそ80万円上がります。

2026年7月28日、中央最低賃金審議会が今年度の引き上げの目安を答申しました。最低賃金は全国加重平均で1,176円。現行の1,121円から55円の引き上げです。例年どおりなら10月ごろ、都道府県ごとに正式に決まって発効します。

冒頭の「年80万円」は、月商500万円の飲食店での試算です。計算の根拠は、この記事の中で全部お見せします。

先にお伝えしたいことがあります。これは嘆く話ではありません。スタッフの時給が上がること自体は、働く人にとっても、業界にとっても良いことです。問題は、上がった分をお店がどう吸収するか。吸収の設計を持って10月を迎えるお店と、なりゆきで迎えるお店で、来年の利益がはっきり分かれます。

私は飲食店の店長を10年、経営を25年、コンサルタントを15年やってきました。今も60席の焼肉店(月商500万円・人件費率30%・平均時給1,200円)を自分で経営しています。この記事の試算はすべて、その実在するお店の数字で行います。

読み終わる頃には、「うちはいくら上がるのか」「10月までに何を準備するか」が、数字で手元に残るはずです。


目次

1. まず、ニュースの数字を正確に見る

対策の前に、事実を正確に押さえます。2026年7月28日の中央最低賃金審議会の答申は、次のとおりです。

  • 全国加重平均:1,176円(現行1,121円から55円の引き上げ)
  • 引き上げ幅の目安:Aランク(都市部6都府県)+54円/Bランク(28道府県)+56円/Cランク(13県)+56円
  • 発効時期:例年どおりなら10月ごろ(都道府県ごとに正式決定)
  • 審議会答申:「価格転嫁が必要」という趣旨の言及も入りました

ランクというのは、都道府県をA・B・Cの3つに分けた区分けで、毎年このランクごとに引き上げ額の目安が示されます。答申はあくまで全国の目安で、ここから都道府県ごとの審議を経て、正式な金額と発効日が決まります。

ポイントは2つあります。

ポイント①:今年は地方の引き上げ幅が都市部を上回る

都市部のAランクが+54円に対して、Bランク・Cランクは+56円。「最低賃金の話は都会のお店の話」という感覚が残っている方ほど、今年は逆だと押さえてください。地方のお店ほど影響が大きい年です。

ポイント②:国が「価格転嫁(値上げ)」の必要性に言及

国の審議会自身が、価格転嫁の必要性に言及しました。「人件費が上がる分は価格に乗せてください」と、国の側から言っている構図です。値上げをためらってきたお店にとって、これほど条件のそろった年はなかなかありません。あとで詳しく触れます。


2. あなたのお店で人件費がいくら上がるのか(具体試算)

私のお店の数字で試算します。焼肉店、月商500万円、人件費は月150万円(人件費率30%)、平均時給1,200円です。

時給が55円上がると、上昇率は 55円 ÷ 1,200円 = およそ4.6%。人件費 150万円 × 4.6% = 月におよそ6.9万円。年間ではおよそ83万円の増加です。この記事では「年80万円規模」と呼びます。

ここで「うちは最低賃金ぎりぎりのスタッフは少ないから、影響はもっと小さいはず」と思った方へ。その気持ちはよく分かりますが、現実は違います。

最低賃金が上がると、まず求人の相場全体が押し上げられます。募集をかけたときの相場の時給が上がるので、新しく入る人の時給が上がる。すると、先に入って仕事を覚えている既存スタッフとの差が縮まり、均衡を取るために既存スタッフの時給も動かすことになります。最低賃金ちょうどの人が1人もいないお店でも、お店全体の時給が動く。だから「年80万円規模」で備えるのが安全です。

採用の場面でも、前提が変わります。10月以降に募集をかける予定があるなら、求人に出す時給も相場の動きを織り込んで見直しておいてください。引き上げを織り込まない古い時給で募集を出して、応募が来ないまま人手不足になる——これも避けたい事故のひとつです。

放っておくと何が起きるか。人件費率30%が31.4%になります。差は1.4ポイント。この1.4ポイントぶん、利益がそのまま削れます。売上も客数も何も変わっていないのに、利益だけが年80万円規模で薄くなるということです。

やっかいなのは、この変化の見えにくさです。仕入れの値上がりなら伝票の金額で目に入りますが、時給の引き上げはシフト表の見た目を何も変えません。今までと同じ顔ぶれ、同じ時間割のまま、率だけが静かに上がっていく。月次の試算表で気づいたときには、もう数か月分が過ぎています。だからこそ、後述する「週」の管理が効いてきます。

でも、逆算すれば対策の規模も分かります。相手は年80万円。この後で紹介するとおり、値上げと生産性の2本立てで十分に吸収できる金額です。まず相手の大きさを数字で確定させる。これが準備の第一歩です。


3. この試算を、あなたのお店の数字に置き換える

あなたのお店の数字に置き換える

やり方は同じです。用意する数字は2つ。「お店の平均時給」「月の人件費」です。

  1. 上昇率の計算:引き上げ額の55円をお店の平均時給で割る(例:55円 ÷ 1,200円 = 約4.6%)
  2. 月間増加額の計算:月の人件費にその上昇率を掛けます(例:150万円 × 4.6% = 月約6.9万円)
  3. 年間増加額の計算:月間増加額を12倍する(例:6.9万円 × 12 = 年約83万円)

平均時給がすぐに分からなければ、直近の月の人件費総額を、その月の総労働時間で割れば出ます。全部あわせても、5分あればできる計算です。

この「うちの数字」を一度出しておくことを、強くおすすめします。年80万円という私のお店の数字のままでは、どこか他人事です。自分のお店の金額に置き換わった瞬間、ここから先の対策の話が、自分の話として読めるようになります。


4. 人件費上昇への対策3選(205施策の採点表より)

私は飲食店の利益改善策を205個すべて書き出し、「年間いくら利益が増えるか」「いくらかかるか」「効果が出るまで何か月か」の3つの基準で、1つずつ100点満点の採点をしています。

その採点表から、「最低賃金の引き上げを吸収する」という今回の状況に一番効く施策を3つ選びました。

  • 【第1位】値上げをする:98.5点(205施策中の最高点)
  • 【S評価】1週間単位で人件費率を管理する:80.5点
  • 【生産性向上】人時売上高の分析:64点

点数が高いものから順に説明します。3つとも、10月の発効までに始められます。


5. 準備1:値上げの設計を今月中に済ませる(98.5点・第1位)

値上げは、私の採点で205施策中98.5点の第1位です。そして今回はさらに、国の審議会が答申の中で価格転嫁の必要性に言及するという追い風まで付いています。

効果を数字で見ます。全品平均3%の値上げで、私のお店(月商500万円)なら年間およそ180万円。人件費増の80万円を吸収して、お釣りが来ます。

ただし、やり方を間違えると効きません。コツは、一律に上げないことです。

お客様がよそのお店とよく比較する定番商品は、価格を守る。そのかわり、比較相手のない「うちにしかない商品」に乗せる。お客様は、いつも頼む定番の価格はよく覚えていますが、そのお店にしかない商品には比べる相手がありません。同じ平均3%でも、どこに乗せるかで、お客様の受け止めはまったく変わります。

それでも値上げをためらう気持ちは、よく分かります。値札を書き換える瞬間の怖さは、25年お店をやってきた私にも毎回あります。ただ、今回だけは思い出してほしいことがあります。時給の引き上げは、うちのお店だけに来るものではありません。同じ地域の、同じ業態の、すべてのお店に同じ条件で来ます。どのお店も同じ課題を抱えて10月を迎えるのです。その中で価格を据え置き続けるということは、増えた人件費を全部自分の利益で受け止め続けるという宣言と同じです。値上げはお客様への裏切りではなく、スタッフの時給を上げながらお店を続けるための設計です。

そして「今月中」と区切るのには理由があります。発効は例年どおりなら10月ごろ。メニューの改定、印刷物の差し替え、スタッフへの説明、お客様への告知——値上げには準備の工程が多く、思っているより時間がかかります。人件費が実際に上がり始めてから設計を始めると、増えた分をそのまま垂れ流す期間が生まれます。先に値上げが立ち上がっていれば、その期間はゼロにできます。

値上げの具体的な手順(どの商品から、どう告知するか)は、YouTube「飲食店経営ワンゼミ」教科書シリーズ#01「正しい値上げ」で詳しく話しています。この記事からは「今月中に設計を終える」というスケジュールだけ、持ち帰ってください。


6. 準備2:人件費は「週」で守る体制に変える(80.5点・S評価)

2つ目は、人件費管理の単位を「月」から「週」に変えることです。私の採点で80.5点のS評価。お金はほとんどかからず、今週から始められます。

なぜ「週」なのか。月末の集計で人件費率の超過に気づいても、その月はもう終わっているからです。過ぎた月は取り返せません。気づくのが月に1回なら、手を打てるのも月に1回。気づくのが週に1回なら、手を打てるチャンスは月に4回に増えます。

もうひとつ、週で見る利点があります。月の数字は大きすぎて、打ち手につながりにくいのです。「今月は人件費率が超えた」と月末に言われても、どこを直せばいいのか分かりません。週の数字なら、たとえば「先週の超過は、雨で暇だった水曜の夜に人が多かったから」というところまで絞り込めます。原因が1週間ぶんの記憶の中にあるうちに振り返るから、直せるのです。1か月前の水曜の夜のことは、誰も覚えていません。

そして、時給が上がるほど、シフトのゆるみは高くつきます。「なんとなく多めに入れておいた」1時間の重みが、10月から4.6%増えるのです。今までゆるいシフトを月末のどんぶり勘定で流せていたお店ほど、週で締める体制への切り替えが効きます。

やることはシンプルです。

  • 週の売上予測から、その週の人件費の予算を決める
  • シフトを組んだ時点で、予定の人件費を予算と見比べる
  • 毎週月曜に、先週の実績で答え合わせをする
  • 超えていたら、今週のシフトを直す

週の予算は、難しく考える必要はありません。目標の人件費率を決めて、週の売上予測に掛けるだけです。売上予測は、先週の実績と予約状況から「だいたいこのくらい」で構いません。この管理の目的は予測を当てることではなく、シフトのゆるみに早く気づくことだからです。

答え合わせを続けるコツは、毎週月曜の決まった時間に、予定として入れてしまうことです。「時間があるときにやろう」にした習慣は、繁忙期に必ず消えます。予定に入っている習慣は続きます。最初の数週間は数字の精度がそろわなくても構いません。まず「毎週月曜に見る」という習慣だけ、先に立ち上げてください。

【重要】人件費の削り方・絶対のルール

直し方には絶対のルールがあります。削るときは、30分単位で、暇な時間帯から。ピークタイムの人員には、絶対に手を付けないことです。

これは私の失敗談です。昔、数字に反応して、忙しい日に人を削り、痛い目を見たことがあります。人件費の数字だけを見て、一番人が要る日から削ってしまった。数字を守る順番を間違えた削り方でした。

時給が上がる時代ほど、この失敗をやりがちです。人件費の数字が悪くなると、焦って「一番人件費がかかっている日」——つまり一番忙しくて、一番売上を作っている日——から削りたくなる。順番が逆です。守るのはピーク、削るのは暇な時間帯。私と同じ痛い目を見る必要はありません。


7. 準備3:人時売上高で「生産性」を測り始める(64点)

3つ目は、人時売上高です。売上 ÷ 総労働時間。スタッフ1人が1時間働くごとに、いくらの売上を作っているかを表す数字で、飲食店の生産性のものさしです。

私のお店は、およそ4,000円です。

この数字が、時給引き上げの年にどう使えるか。時給が4.6%上がるなら、人時売上高も4.6%上げれば、人件費率は元どおりになります。4,000円なら、約4,200円。これが10月に向けた目標値になります。

大事なのは、この数字の上げ方が「削る」だけではないことです。人時売上高は、分母(労働時間)を減らしても、分子(売上)を増やしても上がります。同じ人数・同じ時間のまま、より多くの売上を作る。オペレーションの改善、提供のスピード、おすすめの一声、売り方の工夫——お店の工夫は、全部この数字に表れます。

準備2の週次管理が「守り」なら、人時売上高は「攻め」の数字です。削る話ばかりでは、スタッフの気持ちは保てません。「時給が上がるぶん、同じ時間でより多くの価値を作ろう」という目標なら、スタッフと一緒に追いかけられます。まずは現状を測るところから。売上と総労働時間さえ分かれば、今日から計算できます。

測り始めたら、次は時間帯ごとに見てみてください。1日をまとめた数字では、平均に埋もれてしまう「ゆるい時間帯」が見えません。時間帯別に割ると、人時売上高が低い時間帯が浮かび上がります。低い理由は、人が多すぎるか、売上が薄いかのどちらかです。前者なら準備2の週次管理で30分単位の調整を。後者なら、その時間帯の売り方や、仕込みなど別の仕事への振り替えを考える材料になります。数字は「削る場所」ではなく、「考える場所」を教えてくれます。


8. 「削る」だけで吸収しようとすると、三重に高くつく

「削る」だけで吸収しよう間違いです。

ここまで読んで、「値上げも生産性も大変そうだから、結局シフトを削って吸収しよう」と考えた方がいたら、少しだけ待ってください。削る一辺倒の吸収には、3つの落とし穴があります。

① 削れる幅がそもそも小さい
相手は年80万円規模。暇な時間帯の30分をこまめに整えるのは大事な守りですが、それだけで80万円を全部吸収しようとすると、どこかで削ってはいけない時間に手が伸びます。値上げなら平均3%で年180万円。吸収の本命は、削る側ではなく作る側にあります。
② ピークを削ると売上そのものが痛む
忙しい時間帯の人員はコストではなく、売上を作っている側です。準備2で書いたとおり、私自身がこの削り方で痛い目を見ています。
③ スタッフのモチベーション低下と手取り減
スタッフから見ると、「時給は上がったのに、シフトを減らされて手取りは変わらない」という状態になりやすいことです。これではせっかくの引き上げが誰のためにもなりません。

時給が上がった分は、同じ時間でより多くの価値を作る方向——人時売上高——で吸収する。この方針を先に決めておくと、数字が苦しい週に削る誘惑へ流されずに済みます。


9. スタッフ(社内)への伝え方のコツ

もうひとつだけ、社内への伝え方の話をさせてください。最低賃金の引き上げは、スタッフにとっては良いニュースです。ここで経営側が渋い顔をしていると、せっかくの良いニュースがお店の空気を重くしてしまいます。

おすすめは、時給が上がることを一緒に喜んだ上で、人時売上高を共通の目標にすることです。

「時給が上がる。だから同じ時間で、今より多くの価値を作れるお店にしよう。目標は人時売上高4,200円」

削る判断は経営者の仕事ですが、作る目標はスタッフと一緒に持てます。時給の引き上げを、お店の生産性が一段上がるきっかけに変える。その入り口が伝え方です。


10. 10月発効までのスケジュール&進め方

3つを並べると、順番と役割がはっきりします。

  • 値上げ(98.5点):吸収の本命。3%で年180万円、年80万円の人件費増を打ち返す。【今月中に設計】
  • 週次の人件費管理(80.5点):守り。シフトのゆるみを毎週締める。【今週から開始】
  • 人時売上高(64点):攻め。4,000円→4,200円を目標に、スタッフと追いかける。【今日から測定】

10月の発効まで、時間はまだあります。ただ、値上げの設計には工程が多く、週次管理は習慣になるまでに数週間かかります。「発効してから考える」と「発効した日には仕組みが回っている」の差は、そのまま来年の利益の差になります。

実践カレンダー

  • 今月:値上げの設計 & 週次管理の立ち上げ
  • 来月:値上げの告知・実施 & 週次管理の精度向上
  • 発効月(10月):上がった時給での最初の週次答え合わせ

この流れなら、人件費が実際に増える最初の週から、数字を見ながら手を打てる状態で迎えられます。逆に一番避けたいのは、何も決めずに10月を迎えることです。人件費率が30%から31.4%へ上がり、利益が年80万円規模で薄くなる——それが「何もしない」という選択の値段です。


11. よくある質問(FAQ)

Q1. 地方のお店です。最低賃金の話は都市部ほど関係ないのでは?

A. 今年は逆です。引き上げ幅の目安は、都市部のAランクが+54円、Bランク・Cランクが+56円。地方の引き上げ幅が都市部を上回ります。むしろ地方のお店ほど、この記事の準備を早く始めてほしい年です。

Q2. うちは全員、最低賃金より高い時給で払っています。それでも影響がありますか?

A. 影響はあります。最低賃金が上がると求人相場全体が押し上げられ、新しく入る人の時給が上がります。すると既存スタッフとの均衡で、お店全体の時給も動きます。最低賃金ちょうどのスタッフがいないお店でも、「年80万円規模」を前提に備えるのが安全です。

Q3. 値上げでお客さんが離れるのが怖いです。

A. 怖さの正体は、「全品を一律に上げる」値上げを想像しているところにあります。よく比較される定番の価格は守り、比較相手のない自店だけの商品に乗せる。この設計なら、お客様の受け止めは大きく変わります。しかも今年は、国の審議会自身が価格転嫁の必要性に言及しました。社会全体が「人件費が上がるなら価格も動く」という前提に変わりつつあるタイミングです。

Q4. 人件費を下げたいとき、何から削ればいいですか?

A. 削る前に、まず測ってください。人時売上高(売上÷総労働時間)を時間帯ごとに見ると、どこがゆるいのかが見えてきます。削るなら暇な時間帯から、30分単位で。ピークタイムの人員には手を付けない。この順番だけは、どのお店でも共通です。

Q5. 引き上げの金額と時期は、もう確定ですか?

A. 答申は全国の「目安」です。ここから都道府県ごとの審議で正式な金額が決まり、例年どおりなら10月ごろに発効します。お店の所在地の正式な金額と発効日は、都道府県の発表で確認してください。なお、この記事で紹介した3つの準備は、金額が多少動いても無駄にならないものだけを選んでいます。

Q6. 値上げは、引き上げの前と後、どちらでやるのがいいですか?

A. 設計は今月中、実施は発効より前をおすすめします。人件費が増え始めてから値上げが立ち上がるまでの期間は、増えた分をそのまま垂れ流す期間になるからです。また、ニュース等で話題になっている今のタイミングの方が、お客様にも背景が伝わりやすいです。

Q7. 週次管理は、オーナーと店長のどちらがやるべきですか?

A. 立ち上げはオーナー、運用は店長に渡していくのが理想です。週の予算を決める基準はオーナーの判断ですが、毎週月曜の答え合わせとシフトの手直しは、店長の判断力を育てる一番良い練習になります。

Q8. 205施策の採点表とは何ですか?

A. 私が飲食店の利益改善策205個をすべて書き出し、100点満点で採点したリストです。「年間いくら利益が増えるか」「いくらかかるか」「効果が出るまで何か月か」の3基準で評価しています。今回の3つ(値上げ98.5点・週次の人件費管理80.5点・人時売上高64点)もこの表から選出しました。

Q9. 家族経営でアルバイト数人だけの小さなお店ですが、準備は必要ですか?

A. 必要です。金額の絶対値は小さくても、人件費率が上がって利益が薄くなる構図は同じです。そして小さな店舗はメニュー数が少ない分、値上げの設計が早く終わるという強みもあります。


12. まとめ:時給が上がっても、お店の利益は守れる

要点を3つにまとめます。

  • 最低賃金は全国加重平均1,176円(+55円)へ:今年は地方の引き上げ幅が都市部を上回る
  • 放置すれば利益激減:月商500万円の店で年80万円規模の増加(人件費率30%→31.4%)
  • 対策は3つ:値上げの設計(平均3%で年180万増)、週単位の人件費管理、人時売上高4,000円→4,200円

時給が上がって、スタッフの暮らしが良くなって、お店の利益も守れる。この3つを同時に成り立たせるのが、経営の仕事です。そして相手が年80万円という大きさなら、それは十分にできます。

10月が来ること自体は止められません。しかし、10月をどう迎えるかは選べます。値上げの設計、週の答え合わせ、人時売上高。3つとも特別な投資なしで、今日から始められる準備です。

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