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月1回、たった15分の面談でスタッフが辞めなくなります
スタッフが辞める。募集してもなかなか来ない。やっと育った子から、ある日「辞めたいんですけど」と切り出される——。
飲食店の経営相談で、人の悩みはいつも上位に来ます。時給を上げるべきか、まかないを充実させるべきか。いろいろな手を打っても、辞める人は辞めていく。何が足りないのだろうと、多くのオーナーが悩んでいます。
私は飲食店の利益改善策を205個すべて書き出し、「年間いくら利益が増えるか」「いくらかかるか」「効果が出るまで何か月か」の3つの基準で、1つずつ100点満点の採点をしました。その中で「1on1を行う」——スタッフ1人につき月1回・15分の面談——は77点、S評価の21位タイに入りました。かかるお金はゼロ。必要なのは、月に15分×人数ぶんの時間だけです。
私は飲食店の店長を10年、経営を25年、コンサルタントを15年やってきました。今は飲食店専用のPOSレジを作る会社を経営しながら、60席の焼肉店を自分で経営しています。この記事の試算はすべて、その実在するお店(月商500万円)の数字で行います。
そして先に白状しておきます。私は1on1を始める前、スタッフへの不満を溜めに溜めて、あるとき爆発させてしまう店長でした。この記事は、その失敗談から始まる「説教にならない面談」の作り方です。
採点の内訳は、この施策の正直な姿です
まず点数の中身から。
- インパクト7点:離職が減り、教育とチームワークが回り出す効果は年間350万円クラス
- コスト9点:かかるお金はゼロ。ただし面談の時間を金額に換算して、年間30万円ぶんと数えた
- 時間7点:始めてから職場の空気が変わるまで、およそ2か月
コストの9点について補足します。10人のお店で1人15分の面談を月1回行うと、店長とスタッフの2人ぶんの時間が動きます。時給2,000円で換算すると年間でおよそ12万円。準備や日程の調整まで含めて約30万円と見て、9点にしました。「タダの施策です」と言い切らず、時間もコストとして正直に数えるのが、205施策すべてに通した私の採点ルールです。
ちなみに77点の計算式は、インパクト7点×5+コスト9点×3.5+時間7点×1.5=77点。利益への効きを一番重く見る配点にしています。S評価に入ったのは205施策のうち23個ですから、1on1は上位1割強に入る施策です。
それでも派手さはありません。年間30万円ぶんの時間投資で、350万円クラスの効果が2か月で動き始める。地味ですが、205施策の中でも割のいい部類に入ります。
毎日顔を合わせているのに、なぜ面談が要るのか
「毎日一緒に働いて、毎日話しているんだから、面談なんて要らないよ」。そう思う方は多いはずです。私も昔はそう思っていました。
でも、営業中の会話と1on1の会話は、種類が違います。営業中の会話は、ほぼすべて業務の話です。オーダー、仕込み、片付け、明日のシフト。お店が回るための話はいくらでもできても、「本当はシフトのこの入り方がつらい」「実はドリンクを作ってみたい」という話は、営業の合間には出てきません。忙しく動き回っている店長に、スタッフはわざわざ自分の話を切り出さないからです。
不満が1のうちに出てくる場所は、意識して作らないと存在しません。毎日話していることと、聞く枠があることは、別の話です。むしろ「毎日話しているから大丈夫」と思っているお店ほど、ある日の退職の申し出に驚くことになります。毎日話していたのは業務のことであって、その子の気持ちではなかったからです。
スタッフが辞める理由は、辞める日より前に生まれています
「一身上の都合で」と退職を切り出されたとき、その理由はその日に生まれたものではありません。
小さな不満、小さなすれ違い。シフトの希望が通らなかった。頑張ったのに何も言われなかった。言おうと思ったけれど、忙しそうで言えなかった。そういう小さなものが、言えないまま積もっていく。そして積もりきったとき、「辞めます」という形で初めて表に出てくるのです。
つまり、退職の申し出は結果であって、原因はずっと手前にあります。原因が小さいうちに拾える仕組みがあれば、防げる離職はたくさんあります。1on1は、その「拾う仕組み」です。
この構造を数字で言い換えます。不満を10溜めてから伝えると、相手が受け取るのは「叱責」です。不満が1のうちに伝えれば、それはただの「会話」です。中身は同じでも、溜めた時間が言葉を重くする。そしてこれは、スタッフ側だけの話ではありません。店長側もまったく同じです。次の章で、私自身の失敗をお見せします。
私の失敗談:不満を溜めて、爆発させていた店長でした
私はもともと、スタッフに注意をするのが苦手な性格です。気になることがあっても、その場では言えない。言えないまま、不満だけが自分の中に溜まっていく。
そして1on1がなかった時代、溜めに溜めた不満を、あるとき爆発させてしまう。スタッフからすれば、いきなり怒られたように感じたはずです。嫌な思いをさせてしまったことが、よくありました。
私のお店では、1on1を始めてから、こまめにいろいろな話ができるようになりました。お互いに早い段階で分かり合えるので、業務が非常にスムーズになった。爆発は、なくなりました。
誤解しないでいただきたいのですが、注意するのが得意になったわけではありません。性格は変わっていません。変わったのは仕組みです。「月に1回、必ず話す枠がある」というだけで、不満は1のうちに言葉になります。だから、注意が苦手な方ほど1on1は効きます。私がその証拠です。
離職1人のコストは約25万円。だからインパクト7点です
「面談で離職が減る」という話を、お金の話に直します。
アルバイトが1人辞めると、いくらかかるか。求人媒体に払うお金がおよそ15万円。新しい人の教育にかかる時間が50時間、時給2,000円で換算して10万円。合わせて、1人あたりおよそ25万円です。
スタッフ10人のお店で年に3人辞めていたのが、1人減るだけで年25万円。そして効果はそこで止まりません。慣れたスタッフが残ることで、教育のやり直しが消えます。接客の質が安定します。安定した接客は、リピートに効いてきます。全部を足し込んで、この施策のインパクトは年間350万円クラス、7点と採点しました。
従業員満足は、なぜ「リピートの枝」にあるのか
205施策のロジックツリーで、1on1は「従業員満足を上げる」の枝にあります。探して、この従業員満足の枝は、福利厚生のような独立した項目ではなく、「リピート客を増やす」の中に置いてあります。
理由は単純で、スタッフの満足は、接客を通じてお客様の満足になるからです。
不満を抱えたまま働くスタッフの接客と、気持ちよく働くスタッフの接客は、お客様の側から見てはっきり違います。注文のときの表情、お皿を下げるときの一言、常連さんの名前を覚えているかどうか。そういう細部が、もう一度来たいお店かどうかを決めます。
だから人の施策は、巡り巡って売上の施策です。1on1にかける月2.5時間は、スタッフのためであると同時に、お客様のための時間でもあります。求人広告や割引クーポンのような目に見える出費と違って効果が見えにくいぶん、後回しにされがちですが、採点してみれば205施策の21位タイ。順位が、この時間の価値を教えてくれます。
月15分の1on1・3ステップ
やり方です。特別な部屋も、資料も、外部の研修も要りません。3ステップです。
ステップ1:枠をシフトに入れる(今週やること)
スタッフ1人につき月1回・15分。「時間があるときにやる」は絶対に続きません。シフト表に、面談の枠として書き込んでください。
10人のお店なら、月に合計2.5時間です。場所はお店の隅のテーブルで十分。営業前のアイドルタイムに、お茶を出して向かい合えば、それでもう1on1です。
枠をシフトに入れる意味は、もうひとつあります。スタッフの側から見て「自分のための時間が、予定として確保されている」と分かることです。思いつきで呼び出される15分と、1か月前から決まっている15分では、同じ15分でも重みが違います。
ステップ2:聞く3つの質問を固定する
1on1は、こちらが話す場ではありません。聞く場です。質問はこの3つに固定してください。
- いま、困っていることはある?
- やってみたいことはある?
- 私に直してほしいところはある?
特に3つ目が効きます。店長が先に自分の弱点を差し出すと、スタッフも本音を出しやすくなります。答えが「特にないです」でも大丈夫。「いつでも聞くよ」という枠の存在自体が、不満を溜めない安全弁になります。
ステップ3:メモして、次回の冒頭で回収する
聞いた内容を一言メモして、次の面談の最初に「先月言ってたシフトの件、あれからどう?」と返してください。
この回収があるかないかで、1on1は「聞くだけの儀式」か「本当に聞いてくれる場」かに分かれます。人は、自分の言葉を覚えていてくれた相手に本音を話します。メモは立派なノートでなくていい。1人1枚の紙に、日付と一言だけで十分です。
3つの質問には、それぞれ役割があります
なぜこの3つなのか。役割を分解しておきます。
「いま、困っていることはある?」は、不満の早期発見です。シフトのこと、人間関係のこと、仕事のやりにくさ。溜まる前の「1」を拾う質問です。ここで出てきた困りごとは、その場で解決できなくてもかまいません。聞いて、受け止めて、メモに残す。それだけで不満は溜まりにくくなります。
「やってみたいことはある?」は、やる気の発見です。ホールの子が「ドリンクを作ってみたい」と言うこともあれば、「まかないのレシピを考えたい」と言い出すこともあります。任せられる仕事が見つかれば、教育の計画がそのまま立ちます。人は、辞めたい理由がないから残るのではなく、ここでやりたいことがあるから残ります。
「私に直してほしいところはある?」は、信頼への投資です。この質問だけは、聞く側に勇気が要ります。でも、上に立つ側が先に自分を差し出すからこそ、面談は取り調べではなく対話になります。そして言われたことをひとつ直せば、その姿をスタッフ全員が見ています。「うちの店長は、言えば変わってくれる」。この評判こそ、お金で買えない従業員満足です。
3つとも、答えを急かさないでください。沈黙が10秒続いても、待つ。15分のうち、店長が話すのは2〜3分でいいのです。
面談を「取り調べ」にしない場づくり
15分の中身と同じくらい、場の空気が結果を左右します。私が意識しているのは3つです。
ひとつ、場所はお店の隅のテーブルで十分だということ。事務所や個室に呼び出すと、それだけで「何か言われるのでは」と身構えさせてしまいます。いつものお店の、いつものテーブルで行ってください。
ふたつ、営業前のアイドルタイムに、お茶を出すこと。「これから面談です」と構えるより、「ちょっとお茶でも飲みながら話そう」の方が、同じ15分でも出てくる言葉が変わります。
みっつ、メモは一言だけにすること。相手の顔を見る時間より書く時間の方が長くなったら、それは面談ではなく記録作業です。書くのは、次回に回収するための一言だけでいい。
つまり、立派な会議室も、分厚い面談シートも要りません。要るのは、お茶と、隅のテーブルと、聞く姿勢だけです。
面談が説教になってしまう2つの罠
この施策の失敗パターンは、はっきり2つです。
罠1:説教化
一番危ない罠です。1on1の主役はスタッフ。時間の8割は相手が話す時間です。
伝えたい注意があるときも、まず3つの質問で相手の話を聞き切ってから。「面談=怒られる時間」になった瞬間、この施策は逆効果になります。スタッフは面談の日が近づくたびに気が重くなり、本音は二度と出てこなくなります。溜めた不満を面談の場でまとめて放出したくなる気持ちは、痛いほど分かります。それをやっていたのが昔の私で、だからこそ断言できます。説教になった1on1は、やらない方がましです。
罠2:やりっぱなし
メモも回収もない1on1は、3か月で「意味のない時間」と思われて消えます。ステップ3の回収を必ず行ってください。
それからもうひとつ、面談で聞いた話を他のスタッフに漏らさないこと。「この前○○さんがこう言ってたけど」を一度でもやると、そこは安全な場ではなくなります。安全でない場に、本音は出てきません。聞いた話は、店長の胸とメモの中だけに置いてください。
業態別の読み替え
スタッフが多い大箱のお店
店長が全員と行うのは無理があります。店長→社員、社員→アルバイトの2段構えにしてください。社員にとっては「人の話を聞く練習」になり、そのまま次の店長を育てる教育を兼ねます。店長は社員との1on1で、「アルバイトの面談で何が出たか」を聞けば、お店全体の空気をつかめます。
家族経営・少人数のお店
「面談」と構える必要はありません。営業前の15分を、お茶の時間として固定するだけで同じ効果があります。大事なのは形式ではなく、「必ず話す枠が決まっている」こと。毎日顔を合わせている間柄でも、あらたまって聞かれないと出てこない話は、必ずあります。
評価面談やシフト調整とは、別物として扱ってください
1on1を始めると、つい他の用件を相乗りさせたくなります。時給の見直しの通告、シフト希望の聞き取り、業務連絡。同じ15分で済むなら効率的に見えますが、これはやめてください。
評価やシフトの話が乗った瞬間、その15分は「スタッフの話を聞く場」から「条件を交渉する場」に変わります。交渉の場では、人は本音ではなく、有利になることを話します。「困っていることはある?」への答えも、評価を意識したものに変わってしまう。
評価の話、シフトの調整、業務連絡は、それぞれ別の機会に。1on1は「あなたの話を聞くためだけの時間」として、混ぜずに守ってください。用件ゼロの15分だからこそ、出てくる話があります。
店長マニュアルと組み合わせると、両方が強くなります
205施策の採点では、「店長用研修マニュアルの作成」が87.5点で第6位に入っています。この店長マニュアルと1on1は、組み合わせると互いを強くします。
1on1で聞いた「いま、困っていることはある?」の答えは、マニュアルにまだ書かれていない判断がある場所を正確に教えてくれます。スタッフが困る場面こそ、次にマニュアルへ書き足すべき項目です。
逆に、マニュアルがあると1on1の話題も具体的になります。「この判断、マニュアル通りで良かったのかな」という相談が出てくるからです。
ただし、マニュアルの読み合わせと1on1は、別の時間として持ってください。混ぜると、仕組みの指摘が人格の話に聞こえてしまいます。分けて回すと、仕組みと信頼が両輪で育ちます。
初めてのアルバイトの子にこそ、面と向かう時間を
もうひとつ、面談とセットで私が大事にしてきた話をさせてください。
私は、初めてアルバイトをする子の教育に、特に心を使ってきました。初めて働く環境がダラダラしていると、その後の人生の「働く」がダメになってしまう。だから、働く意義、お客様に喜んでいただくとはどういうことか。お金を頂戴して働くとは、誠心誠意お客様に尽くすことだと、真剣に伝えてきました。
優しい店長ではなかったと思います。でも、話し方に問題があったスタッフと何度も話して、その子がお客様に褒められたときは、本当にうれしかった。
社会人になってから感謝されて、飲みに誘われたり、結婚式に呼んでもらったり。面と向かって話す時間は、そういう関係を作ってくれます。
1on1は「離職を減らす施策」として採点しましたが、本当の価値は数字の外側にもあります。月15分の積み重ねが、何年も続く関係になる。飲食店で働くことの価値そのものを上げてくれる時間だと、私は思っています。
効果が出るまでの2か月
採点で時間7点=「空気が変わるまでおよそ2か月」としました。道のりの目安です。
1回目の面談は、およそ互いの探り合いで終わることが多いです。「特にないです」が並んでも、落ち込まないでください。枠を作ったこと自体が前進です。スタッフは「この面談は本物か、形だけか」を見ています。
2回目、つまり2か月目に変化が出ます。前回のメモを回収した瞬間、スタッフの表情が変わります。「あ、ちゃんと覚えていてくれたんだ」。ここから本音が出始めます。
そして面談の外側も変わります。面談で聞いた「やってみたいこと」を営業中に振れるようになり、日常の声かけが具体的になるからです。月15分の面談は、残りの1か月の会話の質を上げるための15分でもあります。
焦らず、途中でやめず、まず2回目まで続けてください。
1on1で変わるのは、スタッフだけではありません
この施策の効果は、離職の数字にとどまりません。少し引いた視点で3つ挙げます。
- オーナー・店長自身が楽になります:私のように注意が苦手な性格でも、「月1回の枠で必ず話せる」と分かっていれば、日々の小さな気がかりを抱え込まずに済みます。爆発する前に出せる場所があるのは、聞く側にとっての安全弁でもあるのです。
- お店の情報が集まるようになります:設備の不具合、お客様からの小さな声、スタッフ同士の関係。営業中には上がってこない情報が、月2.5時間の面談には自然に集まります。お店の問題の多くは、誰かがとっくに気づいているのに、言う場所がなかっただけだったりします。
- 教育の計画が立ちます:「やってみたいことはある?」の答えは、そのまま次に任せる仕事のリストです。行き当たりばったりで仕事を振るのではなく、本人が手を挙げたことから任せていく。教える側も教わる側も、これが一番速い順番です。
途中で止まってしまったら
正直に言えば、一度始めた1on1が繁忙期に飛んでしまうことはあります。そこでやめてしまうのが一番もったいない。
再開のコツは、なかったことにしないことです。「先月は面談を飛ばしてごめん。今月からまたやらせてね」と一言伝えてから再開してください。黙って復活させるより、枠を大事にしている姿勢が伝わります。
それでも続かないなら、枠の作り方を疑ってください。営業のピークに近い時間に入れていないか。1日に何人も詰め込んでいないか。続かない原因はたいてい、意志ではなく設計にあります。1日1人、営業前の15分。これなら続きます。
「1on1かんたんシート」の型
続けるコツは、記録の型を決めてしまうことです。私が使っているのは、1人1枚の簡単なシートです。
- 上段:3つの質問(困っていること/やってみたいこと/直してほしいところ)と、答えのメモ欄
- 下段:次回に回収することのチェック欄
これだけです。面談のたびに埋めて、次の面談の前に1分だけ見返す。チェック欄が残っていれば、冒頭の一言目が決まります。「先月の件、あれからどう?」。この型をまとめた印刷用のシートは、記事の最後でご案内する公式LINEで配布しています。
よくある質問
Q. 忙しくて15分が取れません。
A. 10人のお店で月2.5時間です。まとめて取る必要はありません。1日1人×月10日に分ければ、1日15分です。「時間が空いたらやる」ではなくシフトに枠として入れる。これだけが、続くかどうかの分かれ目です。
Q. 何を話せばいいか分かりません。
A. 話さなくていいのです。3つの質問をして、あとは聞く。時間の8割は相手の時間です。沈黙が怖いのは最初だけで、2回目からは前回のメモの回収から自然に始まります。
Q. 「特にないです」しか返ってきません。
A. それで大丈夫です。「いつでも聞くよ」という枠の存在自体が安全弁になります。本音が出るのは、たいてい2回目以降です。早く引き出したいなら、店長側から先に「私に直してほしいところはある?」と自分を差し出してください。
Q. 面談で聞いた不満に、全部は応えられません。
A. 全部応える必要はありません。できないことは「できない」と理由を添えて返す。大事なのは、聞いたことに何かしらの返事が返ってくることです。黙殺だけが信頼を壊します。
Q. 給料や評価の話になったら、どうすればいいですか。
A. その場で約束をしないでください。「持ち帰って考える」と受け止めて、次回の冒頭で必ず回収する。安請け合いは、破られた瞬間に面談全体の信用を落とします。
Q. 新人にも1on1をやるべきですか。
A. むしろ新人こそ優先してください。入りたての時期は、困っていることが一番多く、そして一番言い出せない時期です。「困っていることはある?」と聞いてもらえる枠が最初の月からあるだけで、独り立ちまでの不安は大きく減ります。
Q. オーナーの私と店長、どちらがやるべきですか。
A. お店の規模で決めてください。店長が全員と話せる人数なら店長が行い、オーナーは店長との1on1を受け持つ。スタッフが多いお店なら、店長→社員、社員→アルバイトの2段構えです。大事なのは、全員に「月1回、必ず聞いてくれる相手」がいる状態を作ることです。
Q. 話が15分で終わりません。
A. 延長しない方がいいです。「続きは来月、必ず聞かせて」とメモに残して切り上げてください。毎回長引く面談は店長側の負担になり、続かなくなります。15分で終わる安心感は、話す側にとっても大事です。どうしても重い相談が出たときだけ、別の日にあらためて時間を取ってください。
Q. 頻度は月1回でいいのですか。
A. まず月1回・15分から始めてください。回数を増やすより、決めた枠を欠かさず続けることの方が、信頼には効きます。続けられる自信がついてから、必要な人にだけ回数を足せば十分です。
まとめ:不満は、溜まる前に話す
要点を3つにまとめます。
- 不満は溜まる前に話す。1on1はそのための仕組み。不満1なら会話、10なら叱責
- 聞く3つの質問を固定して、時間の8割は相手の話。メモして、次回の冒頭で回収する
- 離職1人のコストは約25万円。月2.5時間の投資で、年間350万円クラスの効果が2か月で動き出す
明日の1歩は、来月のシフト表に、まず1人ぶん、15分の面談枠を書き込むことです。
不満を爆発させていた私にできたのですから、大丈夫です。
この内容は、YouTube「飲食店経営ワンゼミ」教科書シリーズ#06で動画でも解説しています。3つの質問と面談メモ欄・次回回収チェック欄をひとまとめにした「1on1かんたんシート」を公式LINEで無料配布していますので、最初の面談のお供にお使いください。
私も自分のお店で、今月も1on1を続けます。一緒にやりましょう。












